FINAL FANTASY VII BEFORE CRISIS
◎ 第15章 『遥かなる大空の先へ』
ロケット打上げ基地 [υ]-εγλ 0003/4/11
[υ]-εγλ 0003/4/11 PM 2:00 ロケット打上げ基地
散弾銃:
華麗!!
5つの機体が一糸乱れず動き回っている!
これほど技巧的な航空ショーは初めて見ましたわ
これがリハーサルだなんて信じられないです
ルーファウス:
ふん
下らない
散弾銃:
副社長!?
何てこと言うんですか!?
ロケットの打ち上げセレモニーの航空ショーですよ!?
神羅カンパニーの晴れ舞台です!
ルーファウス:
晴れ舞台だと?
ロケット打ち上げにどれほどのメリットがあるというのだ?
まして、セレモニーや航空ショーの中継など無駄でしかない
散弾銃:
はっ!
航空ショーのパイロットが降りてきたわ
シド:
よう!
散弾銃:
あ・・・
あなたは・・・
シド:
しびれたか?
オレ様の曲芸飛行!
散弾銃:
シドさん!
ルーファウス:
君があの機体を操縦していたのか・・・
シド:
機体だなんて呼ぶなよ
あいつはオレ様の相棒だぜ
タイニー・ブロンコって立派な名前がついてんだ
ルーファウス:
機体の名前などどうでもいい
そんなことよりもいったい君は何を考えているのだね?
これは航空ショーのリハーサルだぞ
航空ショー本番に君はどこにいるのか
分かっているのか?
シド:
当然だ
神羅のロケット
神羅26号の中で打ち上げを待ってるぜ!
ルーファウス:
その通り
つまりこのリハーサルはまったくの無意味ということになる
シド:
細かいことは気にすんな
空がオレ様を呼んでんだ
応えるしかねぇだろ?
散弾銃:
さすがは空の男ね
考え方も青空のように痛快ね
シド:
副社長
セレモニーに集まる会社のお偉方に伝えてくれよ
オレ様がお月さんに神羅の旗立ててやる
期待して待ってろよってな!
散弾銃:
シドさん
私も期待しているわ
シド:
おっ!
なかなか感心な
こころがけじゃねぇか
おまえ名前は?
散弾銃:
タークスの散弾銃です
副社長の護衛任務で来ています
ルーファウス:
ふん
ばかばかしい
シド:
な!
ルーファウス:
私は宇宙開発に反対しているのだ
わが社の事業展開はもっと戦略的に進めるべきだ
シド:
けっ
わけぇクセに浪漫がねぇな
それに引き換え社長は浪漫が分かる男だ
たった一代で神羅を
ここまで大きくしただけのことはあるな
スケールが違う
スケールが
ルーファウス:
くっ・・・
シド君
私の前で社長の話はやめてもらおう
シド:
ん?
エンジン音だ
シド:
なんだあいつは!?
散弾銃:
タイニー・ブロンコを
盗もうとしているわ!
シド:
させるかっ
オレ様の大事な相棒だ!
誰にも指一本触れさせねぇぜ!
散弾銃:
シドさん!
散弾銃:
待ってください!
あなたは世界でただひとりの宇宙飛行士です!
何かあったらロケットが飛びません!
私が行きます
散弾銃:
副社長
すぐに戻ります
ルーファウス:
勝手にしたまえ
シド:
頼んだぞ!!
シド:
タイニー・ブロンコは
おまえに預けたぜ!
散弾銃:
無駄な抵抗はおやめなさい!
泥棒:
お、お前!?
いつの間に
散弾銃:
運転席は渡さないわよ
泥棒:
ぐわっ
散弾銃:
くっ!
取り返したけれど操縦できないわ
ピーピー
散弾銃:
まあ!
通信だわ
シド:
うまくいったか?
散弾銃:
シドさん!!
取り返しました
シド:
でかしたぜ!!
そのまま無傷で着陸させろ
散弾銃:
待って!
操縦方法が分かりません!
シド:
そんなの簡単だ!
今から説明すっからよーく聞きやがれよ!
左右キーで移動だ
シド:
上下キーで上昇下降できる
シド:
決定キーで加速だぞ
シド:
加速中に決定キーを
押すと減速するぞ
シド:
燃料切れになると落ちちまうからな
加速すると燃料の減りが早い
気をつけろよ
散弾銃:
やってみます
シド:
傷でもつけたら承知しねぇからな!
散弾銃:
は、はい!!
散弾銃:
多難!?
今度は花火が上がり始めたわ!?
よりによってなぜ今なのかしら!?
シド:
しょうがねぇだろ
航空ショーのリハなんだからな
花火に当たっても燃料が減っちまう
花火は画面下の黄色い矢印が消えると上がるぞ
矢印に注意して花火をかわせよ!
散弾銃:
任せなさい!
シド:
着陸のタイミングはオレ様が合図する
それまでなんとか持ちこたえろよ!!
散弾銃:
こうなったらやってやるわ!
シド:
よーし上等だ
今1/3ぐらいだぜ
シド:
もう2/3を超えたぞ
そのまま行け!
シド:
よしっ
着陸だっ!
シド:
おー来た来た
シド:
よくやったな
散弾銃:
なんとか取り返しました
シド:
ったく
フトドキな野郎だぜ
オレ様のタイニー・ブロンコを盗むとはよっ
いったいどこのどいつがそんなこと考えたんだぁ!?
シアーズ:
タイニー・ブロンコはどうなったか?
泥棒:
すいません
略奪に失敗しました
シアーズ:
仕方ない
無くても済む方法に切り替える
泥棒:
はっ
シアーズ:
神羅26号に潜り込め
酸素ボンベを盗み出すんだ
泥棒:
はい
男:
これが成功すれば打ち上げは
阻止できますね
シアーズ:
ああ
酸素ボンベがなければ打ち上げは失敗する
失敗の様子が世界中に生中継されれば
神羅の面目は潰れる
男:
神羅はアバランチを倒したと思い込んでます
油断してるにちがいありません
次の作戦はうまくいくはずです
シアーズ:
(そして仕上げはプレジデント抹殺)
(セレモニーで姿を現した時がチャンスだ)
シド:
なんか礼しねぇとな
そうだ
ロケットの中見てけよ
散弾銃:
でも・・・
私は副社長の護衛中です
遊んでいる場合じゃありませんの
シド:
だったら副社長も来てくれよ
宇宙開発を見直すかもしれねぇしな
ルーファウス:
(すでに次の作戦が始まっているはずだ)
(ロケットにタークスがいれば作業員達も油断するだろう)
(そうすれば作戦遂行にも都合がいいはずだ)
仕方ない
行こう
男:
よし
誰もいないな
シド:
ここがエンジン部だ
ここにある酸素ボンベで
打ち上げの燃料をサポートするんだ
これがねぇと神羅26号は打ち上がらねぇ
だからこの酸素ボンベは
ロケット打ち上げの命ってことだな
ルーファウス:
シド君
不審者が入っているようだ
シド:
くっそ!
いったい何が目的だ?
シド:
ちょっくら
捜してくらぁ
副社長達は
コックピットにでもいっててくれ
ルーファウス:
シド君
散弾銃はタークスだ
犯人探しならタークスの得意分野だ
散弾銃に任せた方がいい
シド:
それもそうだな
んじゃ
散弾銃頼んだぜ
散弾銃:
副社長
散弾銃:
私には護衛の任務が・・・
ルーファウス:
これは私からの命令だ
口答えは許さない
早く行きたまえ
散弾銃:
・・・・・・
了解しました
散弾銃:
(あの人が怪しいわね)
(目を離さないようにしよう)
(左右のキーで視点を動かして犯人を目で追うわ)
シド:
みんなご苦労さん!
今日の作業はこれまでだ
打ち上げ当日に向けてゆっくり休んどけ
神羅兵:
艦長お疲れ様です
シド:
おう
シド:
散弾銃どうだ?
怪しい奴は分かったか?
散弾銃:
目星はついています
追いかけてみます
シド:
任せたぜ
散弾銃:
(後をつけるわ)
(怪しい奴はどの出口から出た奴かな?)
散弾銃:
(この出口かしら?)
(ここよ)
散弾銃:
ちょっとここで何をしているの!?
神羅の兵士:
し、しまった!
散弾銃:
逃がさないわよ
男:
ばれたら仕方ねぇ
シド:
おーい
シド:
どうだった?
散弾銃:
怪しい奴は片づけました
シド:
ありがてぇ
お礼だ
これをやるよ
エーテルを手に入れた
シド:
今日は助かったぜ
何度も助けられちまったな
散弾銃:
それも仕事です
気にしないでください
ルーファウス:
明日の打ち上げ見ものだな
せいぜいがんばりたまえ
散弾銃:
シドさん
では私たちは帰ります
シド:
オレ様は今日の最終チェックをするぜ
じゃぁな
シド:
なんだこりゃ
シド:
酸素ボンベが
盗まれていやがる!
神羅兵:
怪しい奴らが沢山まぎれこんでたみたいですね
シド:
くそっ
大至急
新しいのを用意しやがれ!!
神羅兵:
稼動のチェックが必要です
今からじゃ打ち上げに間に合うか
分かりません!
シド:
くそっ・・・
--ロケット打上げ基地--
ルーファウス:
社長
打ち上げは中止すべきだ
安全が確認できない
状態での打ち上げは無謀だ
プレジデント神羅:
いまさら中止になどできない
この打ち上げは世界中が注目しているのだからな
シド:
そうだ
中止の必要はねぇ
シド:
チェックは必ず打ち上げに間に合う
とびきり有能なメカニックがチェックしてるんだからなっ
ルーファウス:
これはシド君の命に関わる問題だぞ
社長はシド君の命がどうなっても構わないというのか
散弾銃:
(打ち上げはしてほしい)
(でもシドさんが危険な目にあうなら中止かしら・・・?)
シド:
オレ様は構わねぇよ
散弾銃:
何ですって!?
ルーファウス:
君!
どういうつもりだ!?
死んでも構わないというのか?
シド:
あぁ
オレ様にとっちゃ
宇宙に行けねぇのは死んでんのと変わりねぇ
今打ち上げを中止したら
次のタイミングは6ヶ月も先だ
その間に何が起きるか分かったもんじゃねぇ
だったらオレ様は目の前にある
可能性にかけるぜ
ルーファウス:
社長
打ち上げが失敗したらどうする?
打ち上げ失敗の様子が世界中に知れ渡るぞ
そのときのわが社のダメージは計りしれない
プレジデント神羅:
打ち上げが失敗ならば映像を差し替える
ルーファウス:
そこまでする意味はあるのか?
プレジデント神羅:
神羅の力を今一度世界に見せ付けるのだ
アバランチのせいで
揺らぎかけていた信頼を取り戻す
そして今一度世界の安定をもたらすのだ
ルーファウス:
ふん
くだらん
社長のやり方は無駄が多すぎる
私が神羅を支配すれば利益を今の10倍にしてみせる
プレジデント神羅:
お前は甘い
経営は机上の理論が通用するとは限らないぞ
シド:
ストーップ!
シド:
オレ様が知りてぇのはただひとつ!
打ち上げるか
打ち上げねぇか
それだけだ
親子喧嘩ならそれ決めてからにしてくんねぇか?
プレジデント神羅:
打ち上げは明日予定通り行う!
シド:
OK
シド:
そんならオレ様はもう行くぜ
メカニックがちんたらしねぇようにケツ叩かねぇとな!
--ロケット打上げ当日--
散弾銃:
(セレモニーも無事終わった・・・)
いよいよ神羅26号が宇宙へ行くのね・・・
ツォン:
散弾銃
シドさんが行方不明だ
散弾銃:
え!?
もうすぐ打ち上げなのに!?
ツォン:
捜してくれ
散弾銃:
了解しました
散弾銃:
(シドさん)
(あれだけ宇宙に行きたがってたシドさんよ)
(いなくなる理由がまったくないわ)
(何かあったに決まっているわ)
シド:
おまえら待ちやがれ!
男:
まずい!
逃げるぞ!!
散弾銃:
シ、シドさん!
打ち上げが迫っているわ
シドさんを連れ戻さないと!
散弾銃:
霧!?
これでは何も見えないわ
散弾銃:
霧が薄くなったわ
このうちに捜しださないと
シド:
おまえら
覚悟しろよ
打ち上げの妨害はオレ様が許さねぇ!!
散弾銃:
シドさん!
打ち上げはもうすぐです
急いでロケットに戻ってください!
シド:
余裕だ
こんな奴らすぐに片づけるぜ!
シド:
発射まで後1時間だ
オレ様はロケットへ急ぐぜ!
散弾銃:
シドさん!
神羅26号まで護衛します
シド:
そいつぁ
ありがてぇ
だったらオレ様に
しっかりついてこいよ!
散弾銃:
シドさん!
速すぎるわ!
シド:
世話かけたな
散弾銃:
間に合ってよかったです
シド:
んじゃ
ちょっくら行ってくるぜ
オレ様の晴れ姿目に焼き付けとけよ
散弾銃:
はい
行ってらっしゃい!
シド:
おぅ!
戻ったら宇宙の土産話
聞かせてやるぜ
散弾銃:
楽しみにしています
男:
へへへ
お前はここで眠ってろ
散弾銃:
うぅ・・・
--操縦室--
シド:
計器オールクリア
神羅26号
発射準備よし
管制官:
エンジン圧力上昇中
神羅26号
発射3分前
カウントダウン開始
シド:
・・・・・・
いよいよだな
--ロケット打上げ基地--
プレジデント神羅:
ようやく打ち上げだな
ルーファウス:
・・・・・・
プレジデント神羅:
様々な不振な事件が起きたがな・・・
ヴェルド:
まだこの先何が起きるか分かりません
ですが私が社長も副社長もお守りいたします
ルーファウス:
(くそっヴェルドめ・・・)
(ここに滞在している間おやじから片時も離れなかった)
(これではアバランチ兵達も手が出せない)
(今日のところは諦めるしかなさそうだな)
(だが・・・)
ルーファウス:
(神羅の支配者にふさわしいのは私だ)
(私の進む道は誰にも邪魔させない)
(あらゆる手段を講じて必ず排除してみせる)
散弾銃:
うぅ・・・
不意打ち・・・
シド:
な、なんだ?
何が起こった?
管制官:
パイロット・シド
緊急事態です!
船内のエンジン部に
メカニックが残っています!
シド:
なんだって!
どこのバカやろうだ!?
管制官:
分かりません!
エンジン部と音声つなぎます
シド:
おい
コラ!
そんなところにいるのは
どこのバカやろうだ!?
メカニック:
艦長
私です
私に構わず打ち上げを行ってください
シド:
いまごろ
なにしてやがんだ!
メカニック:
どうしても心配だったんです
酸素ボンベのテストで
満足いく結果が得られなくて
シド:
バカやろう!
そこは打ち上げの時バカ熱くなるんだ!
そんなところにいたら一瞬で黒コゲだぞ
おまえ死んじまうんだぞ!
分かってんのか!
散弾銃:
うぅ・・・
散弾銃:
はっ
ツォン:
散弾銃
今、どこにいる
散弾銃:
ロケットの入り口前よ
ツォン:
なに!?
まだそんなところにいるのか
散弾銃:
怪しい奴に襲われたの
ツォン:
話は後だ
ロケットのカウントダウンが始まる
散弾銃:
もう?
管制官:
メカニックはあきらめろ
エンジン点火
30秒前!
シド:
お、おい!
ちょっと待て
ツォン:
そこでは爆風に巻き込まれるぞ!
とにかくできるだけ離れろ!
散弾銃:
(打ち上げまでになるべく遠くへ行くわ)
無駄な戦闘をしてる余裕はないわね
シド:
(オレ様を人殺しにする気か!?)
散弾銃:
間一髪!
シド:
オレは…
オレ様は…
オレはどうしたらいい
シド:
ああ、月が・・・
宇宙が・・・
オレ様の夢が・・・
管制官:
エンジン点火
シド:
ンガーーーーーーッ!!
プレジデント神羅:
おぉ!
ヴェルド:
・・・・・・
ルーファウス:
・・・・・・
フン・・・
散弾銃:
!
様子がおかしい!
プレジデント神羅:
何っ!?
ヴェルド:
飛ばない!?
ルーファウス:
フッ・・・
ヴェルド:
(シドが打ち上げ緊急停止したか)
(機内に残されたメカニックの命を救うために・・・)
(自分の命は捨てる覚悟だったシドも人の命には負けたか)
ルーファウス:
決まったな・・・
シド:
オレ様の夢と神羅26号・・・
終わらせねぇ
まだまだだ
終わらせるわけにはいかねぇよ・・・
いつかきっとあの神羅26号で宇宙に行ってやる
その日のためにオレ様がメンテナンスしつづけるぜ・・・
ルーファウス:
フッ
全会一致だな
これをもって宇宙開発という
無駄な事業は休止する
プレジデント神羅:
・・・・・・
ルーファウス:
しかし・・・
すでに宇宙開発に投入したコストは二度と回収できない
リーブ:
(確かに・・・宇宙開発は無駄だ)
ハイデッカー:
(その分の予算はぜひうちに・・・)
ルーファウス:
この責任
どう取ってくれるのかな
プレジデント神羅:
考えておこう・・・
では、本日の重役会はこれで終了だ
リーブ:
(副社長もなかなか立派になったものだ)
ハイデッカー:
(副社長に代替わりする日も近いか?)
ツォン:
はっ!
こ・・・
これは・・・?
レノ:
ツォンさん
何事ですか?
ツォン:
これを見ろ
レノ:
監視カメラがどうし・・・
うわっ!
ツォン:
建設中のコレル魔晄炉内部の様子だ
レノ:
アバランチ兵だらけだぞ、と
ツォン:
完全に占拠されている
レノ:
本拠地は潰したんじゃなかったんですか?
ツォン:
組織自体はなくなっていなかったようだ
レノ:
こうしちゃいられない
すぐにコレルに出勤だぞ!と