FINAL FANTASY VII BEFORE CRISIS

◎ ヴェルド特別

--コスタ・デル・ソル--

ツォン:
 (これが例の会社の船だな)
 (魔晄炉警備の兵士はこの会社に拉致された可能性がある)
 (だとしたらこの船は監禁場所にうってつけだ)
 (調べる価値はある)

ツォン:
 (兵士を拉致する目的はただひとつ)
 (魔晄炉の情報入手だ)
 (情報漏洩を防ぐためになんとしても兵士を取り戻さなければ)

これはヴェルド主任の
カーム事件の直前の出来事

--船内--

ツォン:
 ヴェルド主任
 船内に潜入しました
 兵士の捜索をしてみます

ヴェルド:
 よくやった
 だが、現状その船の情報はまったくない

ツォン:
 ではまず
 制御室を探してみます

ヴェルド:
 そうだな
 船内の情報がつかめるかもしれない
 だが
 くれぐれも慎重にな
 敵地であることを忘れるなよ

ツォン:
 はっ

クルー:
 ここから生きて
 帰れると思うな!

ツォン:
 (警備が厳重だ 急がなければ)

ツォン:
 (ここは喫煙室か)
 (監視カメラには『A』と書いてある)
 (部屋番号が『A』ということか?)

クルー:
 神羅の犬め!
 何しに来た!

ツォン:
 (ここはエンジンルームか)
 (監視カメラには『Z』と書いてある)
 (部屋番号が『Z』ということか?)

クルー:
 侵入者か!?
 始末してやる

ツォン:
 (扉がロックされている)
 (開くためにはパスワードを入力しなければ)
 (不用意な入力は危険だ)
 (何かパスワードのヒントはないのだろうか・・・?)
 (調査してみよう)

ツォン:
 (ここは給湯室か)
 (監視カメラには『03』と書いてある)
 (部屋番号が『03』ということか?)

ツォン:
 (仲間を呼ばれないうちに倒してしまおう)

ツォン:
 (パスワード・・・)
 (もしかしたら・・・)
 (入力してみよう)

パスワード入力 A03Z

ツォン:
 (よし)
 (扉が開いたぞ)

--制御室--

ツォン:
 (制御室を見つけたぞ)

ツォン:
 (これは制御パネルだな)
 (これを起動すれば何かわかるかもしれない)

ツォン:
 (よし 起動できた)
 (監視カメラの映像がほしいところだ)
 (どうすれば起動できるんだろうか・・・)

ツォン:
 !!
 (できたぞ)
 (監視カメラの映像が見えるようになった)

ツォン:
 はっ!
 (警備の兵士だ)
 (どこに監禁されているんだ・・・?)
 ・・・・・・
 (この部屋を出て右上のところだな)
 (ここでこの部屋のロックが解除できるぞ)

ツォン:
 (これで扉は開いた)
 (右上の部屋に助けに行こう)

ツォン:
 見つけたぞ

ツォン:
 おい
 無事か?

兵士:
 うぅ・・・

ツォン:
 ひどい怪我だ・・・

兵士:
 あんたは・・・?

ツォン:
 タークスだ
 お前を捜しにきた

兵士:
 よか・・・った・・・

ツォン:
 ひどい拷問をけたようだな

兵士:
 平気・・・だ・・・
 秘密も・・・
 話しては・・・
 いない・・・

ツォン:
 頑張ったな

兵士:
 それより・・・
 大変だ・・・

ツォン:
 どうした?

兵士:
 この船は・・・
 神羅の兵器を・・・
 大量に・・・
 積んで・・・いる・・・

ツォン:
 なんだって!?
 (誰かが横流ししているのか?)

兵士:
 このままでは・・・
 兵器の情報が・・・
 もれるぞ・・・

ツォン:
 (この件の調査をするべきか・・・?)
 (でも今の任務は兵士の救出だ・・・)

ツォン:
 だが私の任務はお前の救出だ

兵士:
 自分のことは・・・
 なんとかする・・・
 情報が・・・
 もれるのを・・・
 止めてくれ・・・

ツォン:
 まずはお前を助けなければ
 命より大切なものはない

結局私は
命令という言葉を盾に
自身の判断を切り捨てた

兵器流出の防止策を
おこたったのだ

判断が間違っていることに
気付いていたにも関わらず

私は完全に
タークスの意味を
見失っていた

ヴェルド:
 ツォン
 先日救出した兵士から聞いたぞ
 あの船には横流しされた兵器が積んであったそうだな

ツォン:
 はい
 ですが任務である
 兵士の救出を優先しました

ヴェルド:
 バカモノ!
 兵士はそれを望んでいたのか?

ツォン:
 !

--回想--

兵士:
 この船は・・・
 神羅の兵器を・・・
 大量に・・・
 積んで・・・
 いる・・・

ツォン:
 なんだって!?

兵士:
 このままでは・・・
 兵器の情報が・・・
 もれる・・・

ツォン:
 だが私の任務は
 お前の救出だ

兵士:
 自分のことは・・・
 なんとかする・・・
 情報が・・・
 もれるのを・・・
 止めてくれ・・・

----

ツォン:
 ・・・・・・
 いえ

ヴェルド:
 ではなぜ兵器を破壊しなかった?

ツォン:
 兵士の救出が任務だったからです

ヴェルド:
 本当にそうなのか!?
 自分の良心が
 傷つくことを恐れたんだろ!
 そのために救出が任務と言って
 自主的な行動を怠った

ツォン:
 (確かに・・・)
 (その通りだ)
 (神羅の利益のために行動するのがタークス)

ヴェルド:
 兵士も神羅のために行動しようとしていた
 それなのにお前は
 己のエゴで兵士の誇りを踏みにじったんだ

ツォン:
 !?
 (自分のせいで仲間が傷つくことが恐かっただけなのか)

私は目先の問題に
捕らわれて本質を
見失っていた

プレジデント神羅:
 許せん!
 なぜわが社の兵器が横流しされているっ!?

プレジデント神羅:
 あれは神羅の技術を集結した兵器だ
 いわば機密情報そのもの
 兵器から情報が引き出されたら一大事だ!
 なんとしてもこの危機を切り抜けなければならん

プレジデント神羅:
 ヴェルド!
 タークスに3つの任務を与える
 まずは内通者の特定
 そして流出した兵器の完全破壊
 最後に兵器情報の完全消去だ
 必ず全てを遂行しろ

ヴェルド:
 はっ
 今回は私が指揮に加えて現場で任務にあたります
 兵器の破壊工作は私が
 兵器データの消去はツォンがあたります

ツォン:
 !
 (私がそんな重要な任務にあたるのか!?)
 (この状況は私の責任なのに・・・)

ヴェルド:
 それ以外のタークスは内通者を特定します

プレジデント神羅:
 失敗は許さんぞ

ツォン:
 主任
 なぜ私をこの任務に?
 この事態は私が招いたようなものなのに・・・

ヴェルド:
 だからだ

ツォン:
 は?

ヴェルド:
 責任持って
 事態を収拾しろ

ツォン:
 はい・・・

ヴェルド:
 それに・・・
 これは危険が伴う任務だ
 任せられるのは
 現状ではお前ぐらいしかいない

ツォン:
 主任・・・

ヴェルド:
 任務はあらゆる手段を尽くして成功させる
 それがタークスだ

ツォン:
 ・・・はい

ヴェルド:
 恐れを捨てろ
 誇りを取り戻せ
 お前はタークスなんだ
 任務のためならお前がピンチでも俺は助けない
 だからお前も常に任務を優先させるんだ
 行くぞっ!!

ツォン:
 はっ

ヴェルド:
 やはり厳重な警備だ
 気をつけろ

ツォン:
 はっ

ヴェルド:
 ツォン
 迅速に対応しろ

ツォン:
 はっ

クルー:
 タークス!
 始末するぞ

ヴェルド:
 この先は別行動のようだな
 俺は兵器の収納庫を探す

ツォン:
 私は制御室へ向かいます

--ここでツォンかヴェルド分岐--

クルー:
 見つけたぞ!
 タークスだっ!!

クルー:
 この先には行かせないぞ!

ヴェルド:
 (これは!)
 (内通者の情報)
 (これがあれば一連の任務が終えられる!)

クルー:
 一人で乗り込むとはいい度胸だ!

クルー:
 俺が倒してやる!

--格納庫--

ヴェルド:
 (ここが格納庫だな)
 (急いで兵器を破壊しなくては)

ヴェルド:
 なに!?
 動き出した!?

ヴェルド:
 (一気に片づけてしまおう)

ヴェルド:
 しまった!
 囲まれてしまった

ピオー

ツォン:
 主任!

ヴェルド:
 ツォン!

ツォン:
 大丈夫ですかっ!?
 すぐに行きます!

ヴェルド:
 待て!
 データはどうなった!?

ツォン:
 !!
 ほとんど終わっています
 あとはバックアップの破壊だけです

ヴェルド:
 ならば来るな!

ツォン:
 ですが
 主任が!

ヴェルド:
 ツォン!
 もう忘れたのか!?

ツォン:
 え!?

ヴェルド:
 また同じ過ちを繰り返すつもりか!?

ツォン:
 同じ過ち!?

ヴェルド:
 タークスとして優先すべきことはなんだ!?

ツォン:
 !?
 (そうだ・・・)
 (そうだった)
 (任務はあらゆる手段を尽くして成功させる)
 (それがタークスだ)
 (主任は私を信頼してくれていた)
 (この信頼を裏切るわけにはいかない)
 了解です

ツォン:
 主任!

ヴェルド:
 来るなと言ったはずだ
 任務はどうした!?

ツォン:
 すべて
 終わりました

ヴェルド:
 よくやった

ツォン:
 残す任務は
 兵器の破壊だけです!
 手伝います

ツォン:
 主任!

ヴェルド:
 助かった
 礼を言う

ツォン:
 いえ
 当然のことをしたまでです

ヴェルド:
 ツォンのおかげで任務は成功だ
 内通者の証拠も入手できた

ツォン:
 任務はあらゆる手段を尽くして成功させる
 それがタークスですから

ヴェルド:
 ようやく理解できたか?

ツォン:
 はい

ヴェルド:
 さぁ
 本部へ帰るぞ

ツォン:
 次は内通者の追跡ですね

クルー:
 !
 大丈夫か

クルー:
 侵入者が・・・

クルー:
 くそっ
 どこにいやがる

クルー:
 見つけたぞ
 船ごと沈んでしまえ!

ヴェルド:
 !?

ツォン:
 爆発!?

ヴェルド:
 このままじゃ船が沈没する
 急げ!
 脱出するぞ!!

ヴェルド:
 出口へ
 向かうぞ

ツォン:
 はっ

ヴェルド:
 危ない!!

ツォン:
 えっ!?

ヴェルド:
 ツォーーーン!!

ツォン:
 主任・・・
 行って・・・
 ください・・・
 私は・・・
 動けそうも・・・
 ありません・・・

ヴェルド:
 何を言う!?
 立て!!

ヴェルド:
 くっ

ツォン:
 内通者の・・・
 情報をっ
 会社へ・・・

ヴェルド:
 くっ

ツォン:
 任務は・・・
 あらゆる手段を尽くして・・・
 成功させる・・・
 そう・・・
 おっしゃったのは主任で・・・す

ヴェルド:
 違う!
 お前はまだその言葉の意味が分かっていない!!

--神羅・医療施設--

ツォン:
 やっと集中治療室から出られましたね
 主任・・・
 申し訳ございません
 私を助けたせいで顔に傷が・・・

ヴェルド:
 気にするな
 娘のフェリシアはむしろ喜んでいた

ツォン:
 !?

ヴェルド:
 久しぶりに休みが取れたからな

ツォン:
 そうでしたか
 ・・・主任
 なぜ・・・
 あの時私を
 助けてくださったのですか?

ヴェルド:
 任務なら成功させただろ
 内通者の情報は報告できた
 それにこうして二人とも生きている

ツォン:
 主任にしては無茶なご判断ですね

ヴェルド:
 フッ
 部下は上司に似るというしな
 お前と同じで俺もまだまだ
 甘いってことだな

ツォン:
 主任・・・
 ありがとうございます

俺はいつも思っていた

ツォン:
 ちょうどいい機会です
 ゆっくりとご静養ください

ヴェルド:
 そうもいかない
 聞いているぞ
 例の内通者がカームの近くに
 潜伏しているらしいな

ツォン:
 主任が戻るまでに
 残りの者で終わらせます

ヴェルド:
 いや
 俺が担当したい
 カームには大事な家族がいるからな・・・

ツォン:
 空き時間にはまた
 娘さんと遊べますね

ヴェルド:
 余裕があれば、な

俺とツォンは
どこか似ている

ヴェルド:
 ツォン
 お前にこのマテリアを渡しておく

ツォン:
 これは・・・
 フルケア

ヴェルド:
 貴重なマテリアだ
 今はまだタークスにもひとつしかない
 お前が持っていろ
 不在の間は頼んだぞ

ツォン:
 はい

だから俺の代わりを
任せられるのは
ツォンしかいない

これが
俺のタークスへの思いと
ツォンを信じる理由

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