硝子のハンマー

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
貴志 祐介
角川書店
売り上げランキング: 24357

<内容>
見えない殺人者の、底知れぬ悪意。異能の防犯探偵が挑む、究極の密室トリック!「青の炎」から4年半、著者初の本格ミステリ!
日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号。廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。


---------
構成が変わってたけど、本格ミステリ。
前半が探偵パートで後半が倒叙形式の犯人パート。
貴志祐介氏の本は今まで読んでたのは全部面白くて
これも面白かったんだけど、
今まで読んだ貴志祐介氏の本と比べてしまうとウーンと考えてしまう。
他の本がレベル高すぎるってだけなんだろうけど。
貴志祐介氏の本をこの1冊だけしか知らなかったら凄い面白い!と言うんだろうけどな。
トリックがあまりに大掛かり過ぎるのと
別に殺さなくても道があったように見えてしまったのが、たぶん私の引っかかり。
あんなトリックを一人で誰にもばれずに本当に出来るんだろうかと。
「殺人に動機は関係ない。どんな些細な動機でも殺人を犯す」と
ミステリを読むときには思っていて、
謎解きするときもこいつは動機がないなとは考えないようにしてるんだけど、
でもこの本の動機にはなんか引っかかりを感じてしまったんだよなぁ。
前半の探偵パートは凄い面白くてワックワクだったんだよね。
榎本さんも雰囲気が好みだし(笑)
でも後半で凄いパワーダウンしたのが否めない。
貴志祐介氏はこういう話ではなくて、「黒い家」「天使の囀り」のような本だな。
今回は読んでいて「やめられない止まらない」という迫力が感じられなかった。